とある休日、地元のパン屋。
焼きたての香ばしい匂いが店内に広がり、
客たちは順番に列を作りながら商品を選んでいた。
そこに、一人の女性がやって来た。
年齢は50代半ば、胸を張った姿勢で堂々と列の一番前に割り込む。

「ちょっと、これ取り置きお願いね」
彼女は焼きたてのクロワッサンをトングで掴みながら、店員に差し出した。
店員が困惑して言う。
「申し訳ありません、お客様、こちらは先着順で販売しておりまして…」
「じゃあ早く取り置き制度を作りなさいよ!独身の中高年が忙しいの知らないの?」
後ろの客たちがざわつき始めるが、女性は全く気にしない。
次に彼女が向かったのは試食コーナーだった。
小さな紙カップに入った一口サイズのパンを手に取ると、隣の若い母親に向かって、
「これ、もう一杯取っておきなさいよ。子供に食べさせたらいいでしょ?」
と言いながら、自分はカップごとトレイを空にする勢いで試食を平らげていく。
母親が「いえ、遠慮しておきます…」と答えている間も、彼女の手は止まらない。
その後、レジではさらに横暴な振る舞いが続いた。
「このパン、少し焦げてない?値引きしなさいよ!」
レジ係の若い女性が丁寧に説明しようとすると、彼女は溜め息混じりに、
「だから若い人は使えないのよねぇ。人生経験が足りないのよ」
と言い放つ。その場にいた全員の空気が凍りついた。
しかし、その直後だった。
突然、彼女の手に持っていたクロワッサンが崩れ落ちた。
袋の中からこぼれたパンが、足元に転がる。
「きゃっ!」
焦った彼女がその場で慌てて拾おうと腰をかがめた瞬間――。
「ブチッ」
店内に静かに響き渡る音。彼女の派手なスカートが、盛大に裂けたのだ。
下には派手な柄のストッキングと鮮やかなピンク色の下着がくっきりと露出。
一瞬の沈黙の後、店内は抑えきれない笑い声で包まれた。
「大丈夫ですか?」と声をかける客もいるが、
その顔には明らかに笑いを堪えた表情が浮かんでいる。
彼女は真っ赤な顔で何か言いかけたが、そのまま何も買わずに店を飛び出していった。
店内には安堵の空気が広がり、誰かがつぶやいた。
「自分のクロワッサンは自分でちゃんと包んで持って帰るべきね」
その日、パン屋のクロワッサンはいつも以上に早く売り切れたという。


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