一人の発明家が、ある革新的な装置を開発した。
その装置は、あらゆる問題を瞬時に解決するという驚異的なもので、
どんな悩みもこの機械に入力するだけで解答が得られるという。
ある日、男が発明家のもとを訪れた。
「私は、人生で一度も成功を収めたことがない。
どうすれば幸せになれるのか教えてくれないか?」
発明家はその男を装置の前に案内し、問題を入力するよう促した。
男は「幸せになりたい」と入力し、装置が動き出すのを待った。
装置は数秒後に答えを出した。
「何もしないこと。」
男は驚き、さらに問い続けた。
「いや、それじゃ答えにならない!他の方法は?」
装置は再び動き出し、次の答えを示した。
「全てを手放すこと。」
男はますます混乱した。
「それも無理だ!具体的な方法が知りたいんだ!」
装置は最後の答えを表示した。
「解決策は存在しない。」
男は絶望し、怒り狂って装置を壊してしまった。
発明家は冷静に装置の残骸を見つめた後、つぶやいた。
「人間というものは、解決策を求めすぎるものだ。
しかし、時には問題そのものを抱えたまま生きる方が、
より自然なのかもしれない。」
発明家は静かに部屋を去ったが、
彼の背後には誰もいない、ただ壊れた装置だけが残されていた。
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