2024年12月31日、午後11時59分。
世界中の人々が新年を迎えるカウントダウンに胸を高鳴らせていた。
テレビ画面には華やかな花火が映り、
SNSには「#2025年にやりたいこと」が溢れている。
そんな中、都内の一角にある小さな骨董品店では、
不思議な光景が繰り広げられていた。

「これが…2024年?」
店主の老人が差し出したのは、小さなガラス瓶だった。
中には、青白い光が漂っている。
「ええ、確かに2024年の一部です」と答えたのは、スーツ姿の若い男だった。
彼はタイムトラベルを研究する科学者だという。
「そんなバカな話があるか!」と、客の一人が怒鳴った。
「年が終わる瞬間を瓶に閉じ込めるなんて、詐欺に決まってる!」
「では、証拠をお見せしましょう。」男は瓶を持ち上げた。
すると、中の光がぼんやりと形を変え、2024年の出来事が次々と映し出された。
大谷翔平がまた新たな記録を打ち立てた場面。
AIが芸術作品を生み出し、人々を驚嘆させた瞬間。
夏に起こった台風被害での復興活動。そして、アメリカの大統領選挙。
「ああ…これは確かに今年の出来事だ…」と、客たちは息を呑んだ。
「この瓶は、人間が未来に行き過ぎないためのアンカーなんです」と科学者は続けた。
「過去の記憶を正しく保つことで、
私たちは次の年をより良い方向に進めることができます。
この2024年の切れ端を持つことで、皆さんの未来は安定するでしょう。」
客の一人が静かに手を挙げた。「その瓶、いくらだ?」
「お金ではありません。2025年の初めにしたいことを、ここに記録してください。
その代わりに瓶をお渡しします。」
気づけば店の中の全員が、用意された紙に自分の希望を書いていた。
そして、瓶を手にした時、誰もが少しだけ笑顔になった。
外では新年の鐘の音が響いている。
だが店内では、誰もが「2024年の切れ端」をそっと胸にしまい、
静かに次の年を迎えた。


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