ある国では、人々は言葉をお金のように使っていた。
話をするたびに、言葉を失っていき、
残された言葉がなくなると、二度と何も話せなくなるのだ。
そのため、誰もが慎重に言葉を選び、無駄な会話は避けるようになった。
ある日、若い男が国王に進言した。
「もっと自由に話す方法を考えましょう。
私たちは言葉を恐れるあまり、思いを伝え合うことができていません。」
国王はしばし考えた後、言った。
「では、特例としてあなたには無制限の言葉を与えよう。」
男は喜び、自分の考えや感情を人々に伝えようと街中を歩き回った。
自由に話せる喜びはあふれ、彼の周りには人々が集まってきた。
だが、やがて彼の言葉は次第に雑多なものとなり、内容が薄れていった。
そしてついに、誰も彼の話を聞かなくなった。
国王は微笑みながら呟いた。
「言葉が無限になったところで、その価値は薄れるのだ。」
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