ある日、町の広場に奇妙な自動販売機が設置された。
その機械には「何でも交換できます」と書かれており、
好奇心旺盛な人々が次々と機械に近づいた。
一人の男が最初に試してみた。
彼は財布を機械に入れ、「もっとお金が欲しい」と念じた。
機械はすぐに動き出し、出てきたのは、山盛りの現金だった。
男は大喜びしてその場を去った。
次に、一人の女性が時計を入れ、「若さを取り戻したい」と願った。
すると機械は動き、彼女は見る見るうちに若返った。
彼女もまた笑顔で立ち去った。
噂は瞬く間に広がり、次々と人々が自分の持ち物を交換していった。
だが、しばらくすると、不思議な現象が起こり始めた。
財布を入れた男は、突然すべての財産を失い、
時計を入れた女性は病にかかり、若さと引き換えに健康を奪われた。
やがて、誰もが交換の代償を払わされていることに気づき始めた。
しかし、それでも多くの人々は交換を続けた。
もっと良いものが手に入るのではないかと期待し、
次々と物を機械に差し出す。
彼らは代償を理解しながらも、引き返すことができなくなっていたのだ。
最後に、町一番の賢者が機械の前に立った。
彼は機械に何も入れず、ただ「何も交換しない」と言い残して立ち去った。
機械は静かに動き始め、やがて止まった。
それ以来、機械は動かなくなり、
人々はようやく自分たちが何を失ったのかを思い知った。
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